【1個からOK】社章製作の価格・納期・依頼の全知識

スーツを着た人物の胸元に社章がつけられている画像。「社章を1個から作りたい方のための完全ガイド」というタイトルが重ねられている

「社章を1個だけ作れないだろうか?」

そう考えて検索しても、出てくるのは「小ロット対応」「1個からOK」といった言葉ばかりで、本当に1個から作れるのか、価格はいくらなのか、納期や品質はどうなるのかといった実務的な疑問にはなかなか答えてくれません。

しかも、多くの業者サイトでは「価格は要問合せ」「まずはご相談ください」となっており、判断材料が何一つ出揃わないまま、不安な状態で問い合わせに進まざるを得ないのが実情です。

私は過去に、社章製作事業のリブランディングや営業プロセスの再設計を担い、現場で数多くの小ロット案件に向き合ってきました。その後、現在は特定の業者に属さない中立的な立場から、発注者目線で実務的な情報を体系的に整理することを目的に、このレポートを作成しています。

この記事では、以下のような視点から小ロット社章製作の実態を明らかにします。

  • 「1個から作れる」という表現の本当の意味と業界構造の背景
  • 初回発注での価格の仕組みと、型代・単価・再注文費用の構造
  • 小ロットでも品質を妥協しないための仕様設計と素材選定の工夫
  • 失敗しないための納期調整や社内稟議への備え
  • 業者選定・見積取得・要件定義のチェックリストと実践的FAQ

この記事は、誰かのサービスを売ることが目的ではありません。
「自社にとって本当にふさわしい一個」を、納得感をもって手に入れたいと考えるすべての方に向けた、中立で実務的な意思決定支援ガイドです。

なお、社章についての全体像については、以下の完全ガイドで網羅的に解説しています。まずはこちらからご覧いただくと、より理解が深まります。
社章とは?意味・マナー・付け方・紛失対応・作成方法まで完全ガイド

まずは一読いただき、判断の土台にしていただければ幸いです。

誉花編集部が監修・執筆した記事のアイキャッチ画像。ワインレッドのワックスシールにHの文字と、ライオンとユニコーンの紋章を背景にしたデザイン。

この記事の監修・執筆は誉花編集部
本記事は、徽章・表彰分野で10年以上の実務経験をもち、経営・企画・マーケティング・AIを活用した業務効率化、社内イベント運用の経験をしている誉花編集部が監修・執筆しています。

結論:社章は1個から作れます!ただし知っておくべき3つのポイント


社章は、技術的には1個からの製作が可能です。しかし実際には、価格・製法・納期といった要素に特有の制約や前提条件があるため、単純に「安価で1個だけ作れる」という理解は正確ではありません。

ここでは、実務的な観点から小ロット製作時に押さえておくべき3つの要点を整理します。

  • 製法が限定される傾向がある
    少量生産に適した製法(例:UVプリント、スタンプ+エポなど)に限定されやすく、七宝・本格鋳造などの高級仕様は非推奨または非対応とされる場合が多い。
  • 初回は「型代」がコストに大きく影響する
    金属製社章の多くは金型を用いて製造されるため、1個だけの注文であっても型代(約2〜4万円程度)が必ず発生する。型代を含めると、1個あたりの単価は数万円に達するケースもある。
  • 納期は柔軟性が求められる
    通常納期は約2週間〜3週間が目安となる。特急対応を謳う業者もあるが、校了から7営業日以内の納品は品質管理や仕様トラブルのリスクが高まるため、発注者側にも柔軟なスケジュール設計が求められる。

このように、確かに「作れる」ものの、数量が少ないほどコスト構造の負担や仕様制限が発生しやすく、事前の情報整理と合意形成が非常に重要となります。

小ロット社章の製作プラン例と価格・納期の目安


社章を1個から10個程度の小ロットで製作する場合、どの製法を選ぶかによって、価格・納期・仕上がり品質に大きな違いが生まれます。本節では、実際に国内で提供されている製作プラン例をもとに、比較しやすいかたちで整理します。

なお、以下の情報は現時点における一般的な傾向を参考としたものであり、個別の価格や納期は業者や仕様によって異なります。

プラン名主な特徴納期の目安型代(初回)単価目安(1個)想定される用途例
試作・短納期プラン金型不要、UVプリント対応約7営業日〜不要約5,000円〜紛失時の代替・初回の形状確認など
標準バランスプランスタンプ+エポ、立体感あり約2週間〜約20,000〜40,000円約8,000円〜起業・周年記念・従業員用の小ロット製作
高級記念品プラン既存型流用・七宝や高級メッキ対応約3〜4週間約20,000〜40,000円約12,000円〜贈答・創業記念・役員用など特別用途向け

上記はあくまで一例ですが、初回製作時には金型費用が価格構成に大きく影響することが多く、10個以下の小ロットであっても総額は数万円に達するケースが一般的です。

一方で、初回製作後に同じ型を用いた再注文を行う場合、型代は不要になるため、単価を大幅に下げることができます。多くの事業者では型を一定期間保管しており(目安:5〜7年程度)、将来の再製作にも対応しやすくなっています。

小ロットでも妥協しない。“特別な一個”を叶える品質仕様の工夫


小ロット製作であっても、見た目・質感・耐久性にこだわりたいというニーズは少なくありません。特に、記念品や贈答用など「特別な意味を持つ一個」を製作する場合、仕様の選び方次第で仕上がりの印象が大きく変わります。

ここでは、限られたロット数の中でも高品質を実現するための仕様や技術的工夫を整理します。

  • 再現性の高い仕上げ:研ぎエポ(とぎえぽ)
    細かいロゴや文字を美しく再現したい場合、エポキシ樹脂を用いた仕上げが有効です。中でも「研ぎエポ仕上げ(樹脂を流し込み、平滑に磨き上げる方法)」は、細部までの再現性と高級感を両立できます。
  • 色の正確さを重視:DIC/PANTONE指定
    企業ロゴなど、特定の色を忠実に再現したい場合は、色指定にDICまたはPANTONEのカラーチップを使用することで、印刷時の色ブレを防げます。
  • 高級感のある輝き:ロジウムメッキ
    一般的なニッケルメッキに比べ、プラチナ系金属であるロジウムを使ったメッキは、銀白色の美しい輝きと耐久性を兼ね備えています。贈答品や役員用などに適しています。
  • 記念性を演出:専用化粧箱の活用
    品質の高い社章でも、納品形態が簡素だと印象に影響します。専用の布張りケースやロゴ入りの化粧箱を用いることで、贈り物としての価値が一段と高まります。

これらの仕様は、特別な一個にふさわしい印象を与えるうえで非常に有効です。重要なのは、予算とのバランスを見極めつつ、どの品質要件を優先するかを明確に定義することです。

小ロット製作でもコストを抑えるための工夫


社章を1個〜10個といった小ロットで製作する場合、価格面で一定の負担が発生します。これは、金型の製作費やデザイン調整、工程管理など、個数に関わらず発生する固定コストが存在するためです。

しかし、工夫次第で予算の圧縮は可能です。以下に、現場レベルで実際に活用されているコスト最適化の考え方を紹介します。

  • 既存型を流用できる仕様を選ぶ
    金型代は数万円単位の費用となるため、既に保有している共通型や汎用型を活用できる業者を選ぶと、初回費用を抑えやすくなります。既成枠に合わせたデザイン調整が鍵となります。
  • 印刷方式を選択する
    フルカラーのUVプリントやオフセット印刷といった印刷方式は、金型が不要なため初期費用が少なく済みます。耐久性や立体感には限界があるものの、暫定対応や試作用途には適しています。
  • 製造時期・納期に柔軟性を持たせる
    発注時期や納期に余裕を持つことで、業者が生産ラインの空き時間を活用できるケースがあります。その結果、通常よりも安価に対応してもらえる可能性があります。
  • まとめ注文・追加分を見越した計画
    初回に少し多めの数量で発注したり、再注文の可能性を事前に業者へ伝えることで、価格交渉や型の保管に有利に働くことがあります。特に、社内で複数人が必要とする場合には有効です。

小ロットの製作では、1個あたりの単価が割高になるのは避けがたい構造です。しかし、仕様選定や発注方法の工夫により、費用対効果の高いオプションを見つけることは十分可能です。

よくある質問:FAQ


小ロットでの社章製作に関して、事前によくいただく質問とその回答を整理しました。初めて検討される方でも安心して計画を進められるよう、具体的な内容に基づいて構成しています。

Q1:社章は本当に1個から製作できるのですか?

A:はい、物理的には1個から製作可能です。ただし、実際には業者が内部で数十個単位で生産し、そのうちの1個を納品するというケースが多いです。再注文時に型代がかからない理由は、この「複数個の同時製作」が背景にあります。

Q2:1個だけ作る場合、価格はどのくらいですか?

A:プランによって大きく異なります。金型が不要な印刷方式であれば総額5,000円〜15,000円程度が目安です。一方、立体的な金属製で金型を新規作成する場合は、型代を含めて総額30,000円〜50,000円程度が一般的な価格帯となります。

Q3:最短でどれくらいの納期で作れますか?

A:標準的な製法では、デザイン確定後2週間が最短目安となります。印刷方式など一部の手法では、1週間以内での対応が可能なこともあります。ただし、短納期は品質や校正のリスクを伴うため、余裕を持った計画をおすすめします。

Q4:社章の品質を上げるには、どこに注目すればいいですか?

A:品質は、「色の正確さ」「立体感」「耐久性」「輝き」など複数の要素で構成されます。たとえば、色の正確さを重視する場合はDICやPANTONEによる色指定と研ぎエポ仕上げ、高級感を求めるならロジウムメッキや七宝焼きといった仕様が有効です。

Q5:良い業者を見極めるにはどうすればいいですか?

A:以下の3点を確認することをおすすめします。
・小ロット製作の実績があるか(過去事例がWebに掲載されているか)
・担当者の対応が丁寧で、仕様や素材について明確に説明できるか
・型の保管期間や再注文の条件が明記されているか(例:5年間保管、再注文は型代不要)
複数社から相見積もりを取得した上で、これらの要素を比較検討することが失敗を避ける鍵となります。

まとめ


小ロットでの社章製作は、起業初期や記念用途、紛失時の再製作といった限られたニーズに対応する手段として確実に存在します。ただし、1個だけの発注であっても、価格や製法の選定、納期調整、品質確保といった複数の要素を冷静に見極める必要があります。

本記事では、以下のような情報を整理しました:

  • 社章は実質的に1個からでも製作可能であること
  • 製作方法ごとのコスト構造と納期の違い
  • 目的別に選べる具体的な製作プランと選定の基準
  • 品質を左右する仕様や要件の定義の重要性
  • 製作を成功させるための準備やコミュニケーションの注意点

これらの情報を踏まえ、まずはご自身の目的や予算、社内体制を明確にした上で、適切なプランとパートナーを選定することが、満足度の高い社章製作につながります。

現在、筆者は社章製作サービスを提供しておりませんが、今後の事業展開に向けた準備の一環として、この記事を執筆しています。読者の皆様が、適切な判断と信頼できる業者選定に進めるよう、中立的かつ実践的な観点から情報を整理いたしました。

本記事が貴社の意思決定の一助となれば幸いです。

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