
日本には、国家や社会に対して顕著な功績を挙げた人々をたたえるための制度が整備されています。これが「公的表彰制度」です。表彰の目的は、功績者の名誉を称えると同時に、社会全体に模範を示し、公共の価値を高めることにあります。
公的表彰制度は大きく二つの層に分かれます。ひとつは、憲法第7条に基づき天皇陛下の国事行為として行われる栄典制度(勲章・褒章)。もうひとつは、内閣や各省庁が政策分野ごとに実施する大臣表彰や顕彰制度です。前者は「国家最高の栄誉」を、後者は「行政施策への貢献」をそれぞれ評価の対象としています。
この記事では、これら二層の制度を内閣府・内閣官房・各省庁・参議院などの公的資料に基づいて体系的に整理し、制度の仕組み・授与の基準・代表的な表彰事例をわかりやすく解説します。民間サイトや報道解説に依存せず、すべて一次情報を参照しています。
この記事でわかること:
- 栄典制度(勲章・褒章・文化勲章)の構造と授与対象
- 内閣・各省庁による表彰・顕彰制度の体系
- 公的表彰制度の社会的意義と近年の改革動向
- 一般推薦制度など、国民が関われる仕組みの概要
一般的な表彰制度の全体像を解説している記事はこちらから→表彰制度の全体像ガイド
社内表彰作り方に関して情報を整理して解説している記事はこちらから→社内表彰制度の作り方ガイド
日本の表彰制度は、社会の価値観や功労のあり方を映す鏡でもあります。制度の全体像を知ることで、「功績を称える文化」がどのように形成されているかを理解できるでしょう。ぜひ本稿を通じて、公的表彰の体系と意義を深くお確かめください。
本記事は、内閣府・内閣官房・各省庁・参議院などの公的機関が公表している情報を参照し、整理・要約したものです。
内容は制度の概要理解を目的としたものであり、解釈や意見を加えたものではありません。
最新の制度内容や詳細は、必ず各府省庁の公式ウェブサイトや公表資料をご確認ください。

監修・執筆:誉花
誉花は、「{しるし × ものづくり} × {アカデミック × マーケティング}=価値あるしるし」をコンセプトに活動しています。社章やトロフィー、表彰制度が持つ本質的な価値を科学的かつ実務的な視点から探求・整理し、再現性の可能性がある知見として発信しています。私たちは、現場での経験と調査・理論を掛け合わせ、人と組織の中に眠る「誉れ」が花開くための情報を提供しています。
日本の公的表彰制度の全体構造
日本の公的表彰制度は、国が功績をたたえるために設けた仕組みで、二つの層から成り立っています。
それぞれの特徴は次のとおりです。
| 区分 | 内容 | 管轄 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 栄典制度 | 勲章や褒章を通じて国家として功績を称える制度 | 内閣府(賞勲局) | 天皇陛下の国事行為として行われる国家最高の栄誉 |
| 各府省・内閣による表彰制度 | 政策分野ごとの功績を顕彰する制度 | 各省庁・内閣官房・内閣府 | 科学技術、環境、地域づくりなど多様な分野が対象 |
栄典制度が「国家レベルの功績」を、各府省表彰が「政策や地域レベルの功績」を称えるという役割分担になっています。
この二つの制度が補い合うことで、国全体から地域社会まで幅広く功労をたたえる仕組みが整っています。
社会に尽くした人々を正しく評価し、その志を次の世代に受け継ぐことが、公的表彰制度の根幹です。
法的根拠と制度改革の沿革
栄典制度の根拠は、日本国憲法第7条に定められています。
この条文により、勲章や褒章の授与は天皇陛下の国事行為として位置づけられています。
制度の運用や管理は、内閣府の賞勲局が担当しています。
2003年には栄典制度の大幅な改革が行われました。
目的は、制度の簡素化と公正性の向上です。
主な改正点は以下のとおりです。
| 改革項目 | 改革内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 勲章の体系整理 | 等級区分を見直し、授与基準を明確化 | 功績内容に応じた公正な評価を実現 |
| 授与対象の拡大 | 公務員中心から民間人にも広く開放 | 社会全体で功労をたたえる体制の構築 |
| 一般推薦制度の導入 | 国民が候補者を推薦できる仕組みを整備 | 透明性と公平性の向上 |
この改革によって、制度はより開かれた形へと進化しました。
功労をたたえる行為が特別な人だけのものではなく、社会全体で共有できる文化として根づきつつあります。
栄典制度の体系
日本の栄典制度は、国に対して顕著な功績を残した人々をたたえるための仕組みです。
その中心となるのが、勲章と褒章、そして文化勲章です。
いずれも内閣府の賞勲局が所管し、厳格な基準に基づいて授与されています。
勲章の種類と等級構造
勲章は、生涯を通じての功績を総合的に評価して授与されます。
主な勲章として、最高位の大勲位菊花章、桐花大綬章、旭日章、瑞宝章などがあります。
これらは功労の内容や貢献分野に応じて授与され、社会的評価の高い栄誉とされています。
勲章は春の叙勲(4月29日)と秋の叙勲(11月3日)の年二回授与されます。
旭日章と瑞宝章には六つの等級があり、功績の範囲と内容に応じて区分されています。
| 勲章の種類 | 等級数 | 主な対象 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 旭日章 | 6等級 | 社会のさまざまな分野で顕著な功績を挙げた人 | 公共・産業・地域貢献など幅広い分野 |
| 瑞宝章 | 6等級 | 公務や専門職に長く従事し、成績を挙げた人 | 行政・教育・医療など職務功労を重視 |
| 桐花大綬章 | 1等級 | 特に優れた国家的功労を挙げた人 | 旭日大綬章より上位の栄誉 |
| 大勲位菊花章 | 2等級 | 国家に特別な功労のあった人 | 日本最高位の勲章 |
これらの勲章は、功績の内容に応じて慎重に選考され、国としての敬意を表すものです。
褒章の種類と対象
褒章は、特定の善行や社会的功労を対象に授与されるものです。
種類は六つあり、それぞれの色によって分野が示されています。
| 褒章の名称 | 綬の色 | 主な対象・内容 |
|---|---|---|
| 紅綬褒章 | 赤 | 危険を顧みず人命を救助した人 |
| 緑綬褒章 | 緑 | 長年にわたり社会奉仕活動を続けた人 |
| 黄綬褒章 | 黄 | 職業に精励し、他の模範となった人 |
| 紫綬褒章 | 紫 | 学術・技術・文化・スポーツで顕著な業績を挙げた人 |
| 藍綬褒章 | 青 | 産業振興や社会福祉の増進などに尽力した人 |
| 紺綬褒章 | 紺 | 公益のため私財を寄附した人(毎月発令) |
また、団体が受章する場合は褒状と呼ばれ、過去に同じ褒章を受けた人が再び顕著な行為を行った場合には飾版が授与されます。
文化勲章と文化功労者制度
文化勲章は、文化の発展に特に顕著な功績を残した人に授与される栄典です。
文部科学省が関与し、学術・芸術・文化などの分野での貢献を基準としています。
授与は毎年11月3日の文化の日に行われます。
これとよく比較されるのが文化功労者制度です。
文化功労者は文部科学大臣表彰にあたる制度で、文化勲章とは位置づけが異なります。
文化勲章が天皇陛下による栄典であるのに対し、文化功労者は大臣表彰に分類されます。
授与の流れと一般推薦制度
勲章や褒章の授与は、内閣府が候補者を選考し、閣議で決定されたのちに天皇陛下が親授されます。
授与式は春と秋の叙勲や褒章発令の時期に行われます。
2003年の制度改革では、一般推薦制度が導入されました。
これは国民が功績を挙げた人を推薦できる仕組みで、内閣府の公式案内に基づいて応募できます。
この制度によって、社会の多様な貢献が栄典の対象としてより公平に評価されるようになりました。
栄典制度は功績を称えるだけでなく、社会に希望と誇りをもたらす重要な仕組みです。
長年にわたり社会を支えた人々の努力を可視化し、未来への励みとすることが目的とされています。
内閣による表彰・顕彰制度
日本では、栄典制度のほかに、内閣や各府省庁が功績をたたえる表彰制度を設けています。
国の政策推進や社会貢献など、特定分野での功労を顕彰する目的があります。
その中でも代表的なものが国民栄誉賞や内閣総理大臣表彰です。
国民栄誉賞
国民栄誉賞は、国民に深く敬愛され、社会に明るい希望を与える特に顕著な功績をたたえるために設けられた制度です。
内閣総理大臣が授与し、対象は分野を限定せず、文化・スポーツ・芸能など幅広い領域が含まれます。
受賞者や選考理由は内閣府の公式サイトで公表されています。
この賞は法律に基づく制度ではなく、内閣総理大臣の裁量によって授与されます。
社会的に大きな感動をもたらした功績を称える象徴的な表彰とされています。
内閣総理大臣顕彰・表彰
内閣総理大臣顕彰や表彰は、栄典の対象外となる功績をたたえるために行われます。
災害救助、道義の高揚、学術や文化の振興、公共事業の完成など、国家や社会に貢献した人や団体が対象です。
これらは閣議の了承を経て実施され、顕著な成果を挙げた功労者に授与されます。
内閣府の公式発表では、年ごとに複数の事例が紹介されており、分野ごとに特色のある顕彰が行われています。
内閣官房による表彰制度
内閣官房では、国家公務員制度担当大臣表彰として、ワークライフバランスの推進や行政組織の改善に寄与した職場を表彰しています。
この制度は、働き方改革や公務員組織の健全化を目的としており、行政運営の質を高める取り組みを称えるものです。
表彰の対象は、勤務環境の改善や職員の意識改革に実績を上げた行政機関やチームです。
子ども・若者応援団表彰
子ども・若者政策担当大臣(内閣府)が実施する表彰制度で、子どもや若者の育成、家庭支援、地域づくりに貢献した個人や団体を顕彰します。
地域社会における支援活動や教育の取り組みが評価の対象となり、社会的包摂を進める一環として位置づけられています。
各府省庁による大臣表彰制度の体系
内閣以外にも、各府省庁が自らの政策分野に関連する功績を顕彰する制度を設けています。
これらの表彰は、優良事例の普及や政策目標の推進を目的としています。
外務省:外務大臣表彰
国際関係の促進や友好親善に貢献した個人・団体をたたえる制度です。
対象には、海外で活動する日本人や外国人の団体も含まれ、国際的理解の深化に寄与した功績が評価されます。
文部科学省:科学技術・文化分野表彰
科学技術賞や創意工夫功労者賞など、科学技術や教育、文化の発展に寄与した人々を表彰します。
文化功労者制度とも関係しており、学術研究や技術開発の成果を広く顕彰することを目的としています。
厚生労働省:卓越した技能者「現代の名工」
厚生労働大臣表彰の代表的な制度として、卓越した技能者「現代の名工」があります。
長年にわたり優れた技術を発揮し、後進の育成にも貢献した職人や専門技術者が対象です。
技能尊重社会の形成を目指す象徴的な表彰として知られています。
農林水産省:農林水産大臣表彰
農業、林業、水産業の各分野で功績を上げた人々をたたえる制度です。
生産技術の向上、地域振興、環境保全など、持続可能な農林水産業の発展に貢献した事例が評価されます。
経済産業省:産業技術・工芸・安全分野表彰
経済産業大臣表彰は、産業技術の発展や製品安全、工芸分野での功労を対象としています。
産業標準化事業表彰や伝統的工芸産業功労者表彰など、技術革新と技能伝承の両立を重視しています。
国土交通省:建設・交通・地域づくり表彰
建設事業功労者表彰や鉄道の日表彰、地域づくり表彰などがあります。
インフラ整備や交通安全、地域振興に関する優れた取り組みを顕彰し、安全で持続可能な社会づくりを推進しています。
環境省:環境大臣表彰
地球温暖化防止や循環型社会の形成など、環境保全に貢献した人や団体を表彰します。
気候変動対策、再生可能エネルギー、地域環境活動など、幅広い取り組みが評価対象です。
環境大臣表彰は、脱炭素社会の実現を支える実践的な功績をたたえる制度として、近年注目を集めています。
各府省庁による大臣表彰制度の体系
各府省庁は、自らの政策分野において功績を上げた個人や団体をたたえるために、独自の大臣表彰制度を設けています。
これらの表彰は、優れた実践事例を広め、社会全体に良い影響を与えることを目的としています。
外務省:外務大臣表彰
外務大臣表彰は、国際関係の促進や友好親善に貢献した人や団体を対象としています。
海外で日本文化を広めた日本人や、日本と他国との協力を深めた外国人・団体も含まれます。
国際的な理解と信頼関係の強化に寄与した功績が評価されます。
文部科学省:科学技術・文化分野表彰
文部科学大臣表彰は、科学技術や文化の発展に貢献した個人や団体を顕彰します。
科学技術賞、創意工夫功労者賞、芸術選奨などがあり、研究・教育・文化振興の分野で顕著な成果を挙げた人々が対象です。
また、文化勲章や文化功労者制度との関連性が整理されており、科学と文化の双方を支える仕組みとして位置づけられています。
厚生労働省:卓越した技能者「現代の名工」
厚生労働大臣表彰の中でも特に知られているのが「卓越した技能者(現代の名工)」です。
長年にわたり優れた技能を発揮し、後進の育成や社会への貢献が認められた職人や専門技術者に授与されます。
対象となる職種は製造、建設、医療、調理など多岐にわたり、技能尊重の象徴とされています。
農林水産省:農林水産大臣表彰
農林水産大臣表彰は、農業、林業、水産業の分野で優れた功績を上げた個人や団体を対象としています。
生産技術の改善、地域活性化、環境保全などの取り組みが評価されます。
地域資源を活かした持続可能な農林水産業の推進を目的としています。
経済産業省:産業技術・工芸・安全分野表彰
経済産業大臣表彰は、産業技術の発展や製品安全、伝統工芸などの分野で功労のあった人々を顕彰します。
代表的なものに産業標準化事業表彰や伝統的工芸産業功労者表彰があります。
新しい技術の創出と技能の継承という、イノベーションと伝統の両輪を重視する制度です。
国土交通省:建設・交通・地域づくり表彰
国土交通大臣表彰は、建設、交通、安全、地域づくりの分野で功績を挙げた人や団体を対象としています。
代表的なものに建設事業功労者表彰、鉄道の日表彰、地域づくり表彰があります。
安全なインフラ整備と地域の活性化を進めることを目的とした制度です。
環境省:環境大臣表彰
環境大臣表彰は、地球温暖化防止や循環型社会の形成に貢献した取り組みを評価する制度です。
再生可能エネルギー、省エネ活動、自然保護など、幅広い分野の個人や団体が対象です。
気候変動への対応や脱炭素社会の推進を支える優良事例が毎年選定されています。
公的表彰制度の意義
日本の公的表彰制度は、国家が功績をたたえるだけでなく、社会全体の価値観や行動の方向性を示す仕組みとして機能しています。
栄典制度と省庁表彰制度はいずれも「社会に貢献した人々を公に認める」ことで、国民に希望や誇りを与える重要な役割を果たしています。
栄典制度の社会的意義
栄典制度は、国家の名誉制度として社会における象徴的な位置づけを持ちます。
勲章や褒章の授与は、功績者への敬意を示すだけでなく、努力や奉仕の精神を広く社会に共有する行為でもあります。
その存在は、国としての価値観を体現し、社会的規範を形成する一つの文化的装置として機能しています。
受章者の行動や姿勢は、多くの人々にとって模範となり、個々の努力が社会全体の発展につながるという意識を育てます。
このように、栄典制度は単なる名誉ではなく、社会的な信頼と連帯を育む象徴的な制度です。
省庁表彰制度の政策的意義
省庁ごとの表彰制度は、行政の政策目標を社会に広げる役割を担っています。
科学技術、環境保全、地域振興、国際交流など、各分野の表彰を通じて政策の方向性を明確にし、模範的な取組を促進します。
これらの表彰は、官と民が協働して社会課題の解決に取り組むための重要な仕組みです。
表彰を通じて優良事例を共有し、地域社会や産業界の発展を支えるモデルが形成されます。
同時に、行政と市民の信頼関係を深める効果もあります。
今後の展望
近年、公的表彰制度はより開かれた方向へ進化しています。
国民が候補者を推薦できる公募型や一般推薦型の制度が拡大し、功績の多様化に対応する動きが広がっています。
また、受章者情報のデジタルアーカイブ化が進められ、透明性の高い運用が重視されています。
これにより、誰もが公平に評価される仕組みが整いつつあります。
今後は、時代の変化に合わせて、社会の新しい価値や挑戦を正当にたたえる制度として発展していくことが期待されています。
FAQ
Q1. 日本の公的表彰制度にはどんな種類がありますか?
A. 日本の公的表彰制度は、大きく「栄典制度」と「各府省庁による表彰制度」の二つに分かれます。
栄典制度では勲章や褒章が授与され、国家レベルの功績をたたえます。
一方、各府省庁の表彰制度は、科学技術、環境、地域づくりなど政策分野ごとの功績を顕彰します。
Q2. 勲章と褒章の違いは何ですか?
A. 勲章は生涯を通じた功績を総合的に評価して授与されるのに対し、褒章は特定の善行や社会貢献を対象に授与されます。
例えば、旭日章や瑞宝章は勲章に分類され、紅綬褒章や紫綬褒章などが褒章にあたります。
Q3. 国民栄誉賞はどのような基準で授与されますか?
A. 国民栄誉賞は、国民に深く敬愛され、社会に明るい希望を与えた特に顕著な功績をたたえるために授与されます。
内閣総理大臣の判断により授与され、スポーツ・文化・芸能など幅広い分野の人々が対象となります。
Q4. 「現代の名工」とはどんな表彰ですか?
A. 「現代の名工」は、厚生労働大臣が授与する卓越した技能者表彰です。
長年にわたり優れた技能を発揮し、後進の育成や社会貢献に寄与した職人や技術者が対象です。
Q5. 栄典制度の推薦は誰でもできますか?
A. はい。春秋叙勲に関しては、平成15年(2003年)の制度改革以降、一般推薦制度が導入され、国民(一般の方)が候補者を推薦できるようになりました。ただし、推薦には推薦者1名・賛同者2名が必要で、推薦者・賛同者・被推薦者はいずれも18歳以上で、二親等内の親族関係にある者を推薦できないなどの要件があります。 また、すべての栄典(褒章・文化勲章等)に一般推薦が可能となったわけではありません。
Q6. 公的表彰制度の今後の方向性はどうなっていますか?
A. 今後の方向性としては、以下のような傾向・検討課題が見られます:
・制度運用の柔軟化・多様化
政府の「栄典制度見直し」報告や懇談会では、従来の叙勲・褒章制度と、各府省庁・地方自治体表彰制度との連携を強め、称揚体系(表彰体系)を総体的に見直す視点が示されています。
ただし、公募型・一般推薦型をさらに 大幅に拡大する ことを明言した政策文書は、少なくとも公開資料上は確認されていません。
・情報公開と記録整備
受章者名簿や統計データをウェブ上で公開する仕組みは既に運用されていますが、制度的に「デジタルアーカイブ化の強化」を目標とする政策文書は確認できません。
ただし、行政文書全体の電子保存・公開制度整備(公文書管理の強化・電子中間書庫整備など)が、国の公文書管理政策として検討されており、将来的には表彰制度の記録もその枠組みに含まれる可能性があります。
公的機関参照URL
1. 栄典制度(勲章・褒章)
日本の栄典制度は内閣府賞勲局が所管し、国家最高の栄誉を称えるものです。
参照元URL(内閣府 賞勲局)
- 日本の勲章・褒章(概要):
https://www8.cao.go.jp/shokun/ - 褒章の種類及び授与対象:
https://www8.cao.go.jp/shokun/shurui-juyotaisho-hosho.html - 栄典制度の概要(詳細資料):
https://www8.cao.go.jp/shokun/yushikisha/290619shiryo6.pdf
2. 内閣による表彰・顕彰制度
参照元URL(内閣府・内閣官房・参議院)
- 内閣総理大臣顕彰:
https://www.cao.go.jp/others/jinji/naikakusouridaijinkensho/ - 国家公務員制度担当大臣表彰:
https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/jinji_w7_r3.html - 表彰あれこれ(制度比較の資料):
https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2015pdf/20150803002.pdf
3. 各省庁による大臣表彰制度
各省庁が所管する分野の功績を表彰する制度です。
各省庁の主な表彰制度と参照元URL
- 外務省(外務大臣表彰)
- 目的・分野:国際関係の促進、友好親善への貢献者を表彰。
- URL:
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/culture/hyosho.html
- 文部科学省(文部科学大臣表彰)
- 目的・分野:科学技術賞、創意工夫功労者賞など、科学技術・学術・文化分野全般。
- URL:
https://www.mext.go.jp/a_menu/jinzai/hyoushou/1414653.htm
- 厚生労働省(厚生労働大臣表彰)
- 目的・分野:卓越した技能者(現代の名工)、社会福祉功労者など、労働・福祉分野。
- URL:
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000r574.html
- 農林水産省(農林水産大臣賞)
- 目的・分野:農業、林業、漁業における功績者を広く表彰。
- URL:
https://www.maff.go.jp/j/kanbo/hyosho/index.html
- 経済産業省(経済産業大臣表彰)
- 目的・分野:国際標準化、製品安全、産業技術開発など、経済・産業分野。
- URL:
https://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun-kijun/keihatsu/hyosho/index.html
- 国土交通省(国土交通大臣表彰)
- 目的・分野:地域づくり、建設、交通安全など、インフラ整備・利用分野。
- URL:
https://www.mlit.go.jp/kokudoseisaku/chisei/crd_chisei_tk_000020.html
- 環境省(環境大臣表彰)
- 目的・分野:地球温暖化防止活動、循環型社会形成推進など、環境保全分野。
- URL:
https://www.env.go.jp/policy/local_kyoryoku/ondankaboushi/hyoushou/